山羽 斌士「わらべ」 絵を買う 

ヤフオクに東京の骨董商が運営しているストアがあって、そこからよくものを買う。多分、彼らが買い取った(あるいは引き取った)品の中で骨董的な価値のないものが出品されている。誰かが昔海外旅行で買ってきたお土産品とか、しまい込まれたままシミだらけになってしまった反物とか、ブランド品ではない古時計とか。そういう高値が付かないもの、落札されなかったらそのまま廃棄されてしまうであろうものを私は好んで買う。世の中で価値がないと判断されたものに価値を見出す喜びというか、まあそういう遊び。

 

絵画もよく流れてくる。私のように趣味で描いている人が教室の展示会に出したと思われる絵もあれば、名のある画家の絵もある。絵画は飾る場所の問題もあるのだと思うが意外と人気がない。プロの絵でも安値で落札できてしまうことがある。

山羽 斌士「わらべ」油彩 F15

この絵は見た瞬間に感じるものがあった。

色使いがきれいだと思う。水色と赤の組み合わせ。後ろの樹木みたいなところの赤は「なんでここを赤で描くという判断になったんだろう」と、絵を描く立場からは感心する。赤が散りばめられているから現実から離れた浮遊感が出るのだと思う。

こういう精神性を感じさせる作品は、絵画の中でも人気があるタイプだと思うが、今回は特に競り合いに発展することもなく落札できた。サイズが大きいから飾る場所を考えると気軽には買えないか。

実を言うと私も自分の部屋にこの絵の置き場所を見つけられなかった。想像していたよりスケールの大きな絵だった。